太公望が妲己に完敗してしまう話。敗因はとにもかくにも「結果を急ぎすぎた」にあった。
太公望は妲己を生き埋めにした隙に紂王を国外に連れ去り誘惑の術を切れさせて妲己の正体を暴いて倒そうとするのだが、この作戦には胡喜媚の存在が想定されていなかった。
太公望は王貴人に対しても本人が名乗るまで彼女が妲己の妹だと言う事を知らなかった。妲己が胡喜媚や王貴人の存在を隠していたのなら仕方が無いが、九竜島の四聖が妲己三姉妹を倒した事が仙人界でも噂になっていたので、太公望は敵である妲己に対する情報収集を怠ったと言える。前回の話で「敵を知る事が第一」と太公望自身が言っていたのに……。
因みに、仮に太公望の作戦が上手くいって紂王を国外に連れ出せた場合、そのまま妲己を倒す事が出来たかと言うと、殷王朝滅亡時の誘惑の術が切れた紂王の本心を聞くに失敗していたような気がする。
殷王朝最高位の官職は武成王、大師、宰相の三つ。
武成王の黄飛虎や大師の聞仲に比べると出番は極端に少ないが宰相の商容が今回登場している。妲己の誘惑の術に惑わされず、後に引退するも聞仲に呼び戻される等、紂王が使い物にならなくて黄飛虎や聞仲もやがていなくなる殷を支えた人物であった。
「序章の終わり」に続く。