「哪吒・出生の秘密」
『封神演義』第10回
哪吒の最初の人生(蓮の化身ではなくて人間の肉体の時代)を父親・李靖と母親・殷氏の二人の視点で語る回。ここで面白いのは回想シーンを父親と母親の二人の視点から描いている事だろう。
父親・李靖の回想シーンでは「玉のような子供」として生まれ「生まれながらに宝貝を身につけた」哪吒が出てくるが、この哪吒を見ているのは李靖のみで殷氏は見ていないとなっている。この母親ならそんな哪吒を見ても自分の子供だと言いそうな気もするが、李靖が哪吒を「化け物」として見てしまうのはこんな哪吒を見てしまったからとなっている。
母親・殷氏の回想シーンで面白いのは李靖の描写。
李靖は哪吒の事を好きになれないと言い、自分の回想シーンでは哪吒を見て複雑な表情を浮かべている場面がある。ところが殷氏の回想シーンでは「哪吒を差し出せ」と言う霊獣王に対して「家長の私が責任を取る」と言っている場面がある。つまり「哪吒は自分の家の者だから、家の責任者である自分が代わりに責任を取る」と言う事である。李靖本人は気付いていないだろうが、殷氏を始めとする他の人間から見たら李靖は普通に「哪吒の父親」をしていたのだ。
宝貝を身に付けて生まれた哪吒。特に「風火輪」は仙人界に二つと無い宝貝と言われているので、霊珠は生命の創造の他に宝貝の複製も行える事が分かる。もはやスーパー宝貝並の能力だ。
李靖が哪吒の事を好きになれない理由として「男の仙人が妻の腹に何かして子供を産ませた」と言うのもあると思われる。哪吒は自分の子ではなく、その男の仙人と妻の子と言う印象を抱いたのかもしれない。もし太乙真人が女だったら、この親子関係はまた違ったものになっていたのかもしれない。
哪吒が川で混天綾を使ったのは母親に魚を食べさせたかったのかな。
「太公望VS哪吒・空中大決戦!!」に続く。