翔龍shoryuの忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。『ドラゴンボール』や藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも書いています。

「武成王造反① -賈氏と黄氏-」 『封神演義』第29回

「武成王造反① -賈氏と黄氏-」
封神演義』第29回

 

太公望の分析によると「平和ボケしている西岐の民では朝歌には勝てない」との事。
その精神的な部分に関しては後に九竜島の四聖や魔家四将が西岐を攻撃して民に犠牲者が出た事で好戦ムードが起きて解決する。この魔家四将の派遣は通天教主が決めた事らしいが、この時点で通天教主は妲己と王天君に魂を抜かれているので実際は妲己と王天君の指示だったと思われる。太公望と同じく西岐の民は平和ボケしていると気付いた妲己が好戦ムードを高める為にあえて魔家四将を派遣したのかもしれない。

 

黄飛虎と聞仲が手を組んだら厄介だと考えた妲己は黄飛虎の妻である賈氏と妹の黄氏が紂王のせいで命を落とす事になるように仕向ける。
この話は賈氏が黄氏に会いに行かなければ起きなかった事だが、どうして彼女は黄氏に会いに行ったのだろうか? それは彼女が夫と同じく「大切な人を守ろうとする人物」であったからだ。
黄飛虎は家族が大切でそれを守ろうとしている。妻や妹の身を案じ、この後も息子の天化の事を心配している。一方の賈氏もただ夫に守られるのではなく、自分も大切な家族を守ろうと動いた。後宮は男は入れないので、黄氏に会いに行けるのは女の自分だけである。黄氏は自分の事は放っておいてほしいと言っているが人質状態の中で賈氏が会いに来てくれる事で精神的に色々と救われていたと思う。次の話になるが黄飛虎の義兄弟である四大金剛も賈氏にはよくしてくれたと言っている。
なので妲己は黄飛虎の大切な存在である家族に目を付け、大切な家族を守ろうとする賈氏の心を利用した。

 

ここでちょっと話がズレるが、では、黄飛虎や賈氏の子供である天化や天祥はどうなのだろうか?
黄飛虎と賈氏が「何かを守る人」であったのに対し、まだ子供である天祥は「守られる人」で、父の黄飛虎や兄の天化の他、二人の死後は哪吒に守られている。
一方の天化であるが、「守られる子供」であった時期は清虚道徳真君にスカウトされて仙人の道を志した時に終わり、この後の話では「守られる子供」ではなく「もう守られなくても大丈夫になった一人の大人」として出ている。そして天化は「自分一人で戦える事」に拘りを持つ。太乙真人が哪吒の事を「存在理由は戦う事」と言ったが、実は天化も「戦う事で自身がもう守られる子供でない事を証明している」と言える。
さらに後の話になってしまうが、そんな天化だからこそ、妖怪の呪いを受けて一人で戦えなくなり、父の黄飛虎をはじめ皆に心配されるようになった辺りから焦りを感じるようになる。そして自分が戦える時間が残り少なくなった事、自分が子供でない事を証明する相手の父・黄飛虎が死んだ事で、天化は「父に勝った相手を倒し、父の意志を成し遂げる事で、自分はもう大人である事を証明しようとした」のかもしれない。

 

武成王造反② -紂王の力-」に続く。

 

 

封神演義 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)

封神演義 4 (ジャンプコミックスDIGITAL)