「二太子・崑崙を下山する」
『封神演義』第76回
今回の話の前半は登場人物と戦況の確認となっている。
『封神演義』は登場人物が多いので一つの話で活躍出来る人物は限られてしまうのだが今回は殆ど全てのキャラに何かしらの場面が作られている。
武王の「にぎやかになった」から新加入の土行孫と蟬玉へ、その二人を呆れて見ている楊戩に戦いを挑む哪吒、その結果を見ていたら稽古に集中しろと天化に怒られる天祥と、いつも以上に話作りが大変だっただろうなと感じる。
仙人骨がある事が判明した天祥は稽古で四大金剛全員を倒している。これまでは四大金剛や南宮适も戦力に加えられていたのだが、この辺りから仙道と普通の人間の戦力差が開いてくる。
もう既に崑崙に帰ったようだが、呂岳の病気を治す薬の開発にやって来た雲中子は雷震子の改造も同時に行っていた。空に浮かぶ雲中子の笑顔がツボにはまるw
当初の予定では金吒が南、木吒が東、哪吒と雷震子は太公望の所に派遣される予定だった。北には崇黒虎がいるのでこれで東西南北全てに仙道が配置される事になるのだが、その後、蟬玉や冀州軍が加入した事で状況が少し変わった。
殷や金鰲の情報を持っている蟬玉を太公望の所に置く事になり、蟬玉を留めておく為にピンチヒッターの予定だった土行孫も崑崙に帰還させずそのまま太公望の所に。そして新加入の鄧九公と竜鬚虎を金吒と一緒に東に、同じく新加入の蘇護、蘇全仲、鄭倫を木吒と一緒に南に、そして雷震子は北に派遣される事となった。雷震子が太公望の所から北へと派遣先が変わったのは太公望の所に蟬玉と土行孫が加わった事で西に仙道が集まりすぎたので、それなら手薄な北に雷震子を振り分けようとなったと考えられる。
しかし、これによって雷震子はレギュラーから外れ、活躍を蟬玉達に奪われる形となってしまった。(雷震子の次の登場は1年半後の第149回)
妲己「通天教主? そんな人もいたわねん」。
妲己のこの台詞は仙界大戦への伏線なのだが、考えてみたら妲己がこの事を喋る必要は無かったりする。申公豹の目的が「妲己の真の目的を知る事」と分かった以上、歴史の道標である女媧の存在を知られない為にも妲己は申公豹に情報を与えてはいけなかったはず。しかし、妲己は申公豹と度々会話を交わして情報を与えている。これは「妲己の真の目的」が「女媧を倒す事」であったので、女媧に気付かれないように申公豹に情報を流して女媧打倒に繋げようとしていたからと考えられる。この時点で太上老君の居場所を知っているのはおそらく申公豹だけだったはずなので、妲己は情報を流す事で申公豹が太上老君を表に引っ張り出すようにした可能性がある。
申公豹「また会いましたね、太公望!」。
そう言えば太公望と申公豹が以前に会ったのはいつだったっけ?と思って振り返ってみたら太子二人の登場エピソードの時であった。ひょっとして、これは約7年振りの再会となるのかな?
「太子の選択・その1」に続く。