翔龍shoryuの忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。『ドラゴンボール』や藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも書いています。

「趙公明攻略Ⅰ -楊戩のくせに大ピンチ-」 『封神演義』第85回

趙公明攻略Ⅰ -楊戩のくせに大ピンチ-」
封神演義』第85回

 

趙公明の船の中に入った太公望は「金鰲の文明は崑崙と比べても遜色がない」と驚く。蟬玉に「金鰲を馬鹿にしてはいけない」と指摘されたようにこの時点での太公望の金鰲に関する認識は「崑崙より劣ると思っていたら互角だった」であった。だが実際は「崑崙より文明が進んでいて、かなり差が開いていた」で、この認識のズレによって太公望は仙界大戦で通天砲射程距離の目測を誤ると言うミスを犯してしまう。

 

今回の戦いは趙公明が全て用意しているのだがいくつか決まりがある。
2Fに殷氏と李靖、3Fに土行孫、4Fに黄飛虎を人質として置く事で、2Fは哪吒、3Fは蟬玉、4Fは天化が戦うようになっている。そして2Fに呂岳と馬元、3Fに劉環、4Fに余化と何かしら因縁のある相手を配置している。おそらく趙公明は「因縁の相手と戦い勝利する事で大切な人を取り戻す」と言うのを戦いのルールとしているようだ。
面白いのは趙公明自身は「因縁の相手と戦い勝利する事で大切な人を取り戻す」と言うゲームのプレイヤーにはならずあくまでラスボスの位置にいる事。これは趙公明自身が既に強くなっているので、何かに挑戦する事が無くなってしまい、代わりに誰かからの挑戦を受けるような形にしたのだと思われる。おそらく趙公明がラスボスではなくてプレイヤー、いわゆる挑戦者となるのは元始天尊と会う時だけであろう。

 

さて、上に書いた趙公明のルールであるが今回の戦いで一人だけ当てはまらない人物がいた。それは楊戩で、人質の武王とも敵の楊任とも特に深い関わりや因縁は無かった。趙公明もさすがに楊戩関係の人質や対戦相手の人選に苦労したのか、1Fだけ楊戩宛ての手紙を用意して指名と言う形で戦わせている。
思えば楊戩はこの時点では人間関係が殆ど語られていない。師匠の玉鼎真人の存在が触れられているくらいであろう。さすがの趙公明もこの時点で楊戩と通天教主や王天君との関係は知らなかったと思われる。なので、楊戩の記憶を探る事が出来る楊任を出して、幻覚と言う形で楊戩の人間関係を使おうとしたのだと思われる。

 

あの四聖や魔家四将相手にも優位に戦っていた楊戩がまさかの大ピンチ!
盛り上がる展開なのだが途中に太公望から見た場面を入れる事で楊任の変化が幻である事を読者に教えてしまったのは残念。これでは「幻覚を打ち破れば楊戩の勝利」と言うのを読者がこの回を読んだ時点で推測出来てしまう。せっかくの「楊戩大ピンチ!」と言うシチュエーションなので次回を読むまで楊任の能力がバレないようにしてほしかった。

 

趙公明攻略Ⅱ -BRAIN CONTROL-」に続く。

 

 

封神演義 10 (ジャンプコミックスDIGITAL)

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