「牧野の戦い④ -湯王の因子-」
『封神演義』第164回
かつて女媧は殷の初代王である湯王に「力」を与え、今また妲己は紂王を改造してその中に眠っていた「湯王の力」を引き出した。しかし、女媧が一瞬で湯王に力を与えたのに対し、妲己は紂王の改造に何年もかかり、さらに拒絶反応で姿が化け物じみた時期もあった。
さて、かつて女媧が与え、そして今回妲己が復活させた「湯王の力」とは「戦う度に強くなる」であった。この力の利点は「戦いの最中でも急激なパワーアップが可能」「一人で大勢の敵と戦える」である。インフレ甚だしい力ではあるが、人間どころか仙人も超えたその力によって湯王は「神」と呼ばれるようになったので、戦いが終わり殷王朝を開く際に「神である湯王」と言う存在は色々と有利に働いたと考えられる。しかし、時を経て今回の紂王は「神」ではなくて「化け物」と呼ばれ、人心が離れて殷王朝を終了させる一因となってしまう。
初期から読んでいると、哪吒と楊戩のコンビネーションに感激する。特にダブル乾坤圏の場面は「あのきかん坊だった哪吒が仲間とタイミングを合わせて攻撃する事が出来るようになるなんて…」と思わず目頭が熱くなる。
「歴史の道標一 -砂の城-」に続く。