「黄家の血① -天化のゼルプスト-」
『封神演義』第170回
天祥の報告を受けた楊戩は天化が独自の行動を開始した事に気付いたと思われるが、この後、楊戩が何かしたと言う描写は無い。しかし、翌朝に朝歌に入城する時に天化と太公望が先に入っていると武王に話している。
楊戩と太公望は牧野の戦いが始まる前にも天化について話をしているので、天化が何かしでかす事を楊戩と太公望は共に感づいていたと考えられる。
天化が独自に行動を開始した事を受け、太公望は先回りして説得する事になるが、それによって、いよいよ朝歌に入城すると言う時に武王の横に軍師である太公望がいないと言う事態になってしまった。しかし、そこには軍師代行として太公望不在時の周をまとめていた楊戩がいた。おそらくだが楊戩は天化が独自の行動を開始し、太公望がそれを止めに行くとなった時点で、自分の役目は武王の横にいる事だと判断したのではないだろうか。
今回は天化の子供時代が描かれる。
黄飛虎、賈氏、天化、天祥はぱっと見は全く違うキャラデザのようでありながら一つ一つのパーツを見ていくとちゃんと親子としての繋がりが意識されている事が分かる。
初登場時に天化が着ていた上着だが、今回描かれた子供時代にも似たような服を着ている。ひょっとしたら、天化はその服をずっと着ていたのかもしれない。(ただし、体は大きくなったので、着る為に袖は切った)
コーチ、他人の家を破壊するのはスポーツマンシップに反しています。
本作で「父を越える」と言う話は哪吒と李靖親子があったが、ここに来て、天化と黄飛虎にも「父を越える」と言う話があった事が分かる。そして哪吒の場合は父である李靖が最初から弱かったとして、天化の場合は黄飛虎が途中で死んだとして、どちらも「父を越える」と言うイベントをクリアする事は出来なかった。ここで哪吒は視点を父以外の人々に向けて成長していったが、天化は父に固執するあまり自滅の道を辿る事となった。そして天化の死後、天化の弟である天祥を哪吒が引き取る事になるが、それはまた後のお話。
今思うと初登場時の天化がどことなくオヤジ臭かったのは「父のようになりたい」と言う意識の表れだったのかな。
「黄家の血② -三番目の王天君-」に続く。