「少年の微妙な心の段」
『忍たま乱太郎』20期第17話
2012年4月25日放送
『忍たま』らしくないタイトルだったので逆に印象に残った話。
『忍たま』は大小様々な「事件」を話の中心に置く事が多いが、三治郎が主役の話では「心」が話の中心に置かれる事が多い。
皆は三治郎が落ち込んで笑えなくなっても何かきっかけがあればすぐに笑顔を取り戻すだろうと思っていたが、実は16期の「三治郎のライバルの段」で三治郎は負けた悔しさを隠す為にわざと笑う事があると語られている。皆は「いつもニコニコ笑っている三治郎」が「三治郎にとって普通の状態」と思っているのだが、実はそれは普通の状態ではなかったのだ。この認識のズレが三治郎の心を必要以上に落ち込ませ苛立たせたと思われる。
三治郎が最後に笑顔を取り戻して兵太夫と仲直りした明確な理由は描かれなかった。いつもだったらここで分かりやすいエピソードが用意されるのだが、今回はそこを「少年の微妙な心」で表現している。
三治郎のエピソードは今回のようにちょっとしんみりした話が多い。それは「三治郎は自慢の足で乱太郎に勝つ事が出来ない」からで、乱太郎に勝って終わる話もあるが基本設定を変える事は出来ないので最終的に三治郎は再び乱太郎に負けてしまう事になる。つまり三治郎のエピソードは「乱太郎に勝つと言う三治郎の目標は決して達成されない」を前提に作られている事になる。努力しても成果を得る事が出来ない。でも努力し続ける。そんな三治郎の姿にちょっとした哀しさやほろ苦さが感じられ、話をしんみりさせるのかもしれない。
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