翔龍shoryuの忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。『ドラゴンボール』や藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも書いています。

『ドラゴンボール 摩訶不思議大冒険』

ドラゴンボール 摩訶不思議大冒険』
1988年7月9日公開

 

DRAGON BALL』の劇場版3作目。
『魔人城のねむり姫』の続編で今回は第21回天下一武道会編から第22回天下一武道会編までの話を再構成している。
今回は「ミーファン帝国」と言うオリジナルの国を舞台していて天津飯達の設定も大きく異なると『DRAGON BALL』の映画の中でもオリジナル要素がかなり大きくなっている。

 

今回の敵は鶴仙人一味。
原作では第22回天下一武道会の時は桃白白が死亡扱いで続く第23回天下一武道会の時は天津飯と餃子が離反しているので、鶴仙人、桃白白、天津飯、餃子の四人が揃う場面は実は無かったりする。

 

原作ではピッコロ大魔王に取り入って世界征服に関わろうとしたピラフ一味だが本作では鶴仙人に取り入っている。
ドラゴンレーダーを開発してミーファン帝国の世界征服に大きく貢献するのだがおそらくは桃白白に口封じで殺害されてしまったと思われる。

 

ブルー将軍はミーファン帝国の軍人と言う設定になっているが原作同様に主君への忠誠心は高く、幼い皇帝を利用して自身の野望を進める鶴仙人を糾弾したところを桃白白に消されると言う展開になっている。

 

メタリック軍曹もミーファン帝国が作ったロボットとして登場している。

 

鶴仙人が皇帝である餃子を利用してドラゴンボールを集めようとしているが一方のブルマも悟空を利用してウーロン達をドラゴンボール集めに連れ出している。

 

原作のブルマは危険な敵との戦いを嫌がる傾向があるのだが劇場版のブルマは意外と好戦的で『神龍の伝説』に続いて今回も高い操縦技術を駆使してミーファン帝国の戦闘機を撃破したり、ミーファン帝国の宮殿に潜入する協力を頼んで金髪ランチに「ここ(宮殿)をやるのか!?」と驚かれたりしている。金髪ランチが驚くほど攻撃的ってよっぽどだぞ。

 

ドラゴンボール探しを嫌がるウーロンを説得する為にブルマはミーファン帝国には可愛い女の子がたくさんいると言う話をする。その話を聞いたヤムチャだが女の子には興味が無くて武道大会に参加する為にミーファン帝国に行きたいと申し出る。
以前にも書いたがこの頃のヤムチャは意外と女性に興味が無いんだよね。

 

原作では聖地カリンに住む人間はウパとボラだけの登場だったが本作ではそれ以外の人間も多数登場していてミーファン帝国に無理矢理にドラゴンボール探しをさせられている。
ミーファン帝国の企みを暴く為にウパとボラがミーファン帝国の都に潜り込む。ポンチョと帽子を被ったボラが格好良い。

 

亀仙人と桃白白が対峙すると言うレアな場面がある。
シリアスでの二人の対立はさすがに渋くて格好良かった。

 

天下一武道会でのヤムチャの対戦相手はジャッキー・チュン武天老師)、天津飯、神様と強敵ばかりだったが本作の武道大会でも強者のボラと戦う事になる。
ボラ相手に優勢に戦っていたのに亀仙人の妨害を受けて負けてしまったヤムチャがさすがにちょっと可哀想。

 

天津飯と餃子は原作では鶴仙人の下で修行をした兄弟弟子と言う設定になっているが、本作では餃子は幼い皇帝、天津飯は皇帝の付き人であるが餃子の友達でテレパシーの術を教えた人物となっていて、原作では天津飯が殺し屋から武道家へと変わっていく過程が描かれたが本作では餃子との友情を軸に天津飯の変化が描かれている。
それにしても餃子の皇帝は凄いハマり役だった。

 

仙豆の効能は初登場時は「空腹が満たされる」であったが後に「怪我を癒やして体力を回復させる」となっていて本作でも「元の元気を取り戻せる」として桃白白に倒された悟空を回復させている。
原作と違って悟空がカリン様の修行を受けていないのに桃白白にリベンジが出来たのはカリン様の忠告やアラレちゃんに振り回されて桃白白が冷静さを失った他に悟空が仙豆で死の淵から回復した事でサイヤ人としてパワーアップを果たしたのも関係しているのかもしれない。

 

本来ならカリン塔を登らないといけないのだがカリン様が食事中で油断していたのでどどん波で飛ばされた悟空はカリン様のところに来られたらしい。
後にブルマが飛行機で神様の宮殿に辿り着けた事があったが塔や宮殿の管理人が意識して跳ね返さない限りは舞空術や飛行機でも頂上に登れるようだ。

 

原作ではアラレちゃんに振り回されるのはブルー将軍だが本作では桃白白が振り回されている。
原作ではギャグが殆ど無かった世界一の殺し屋・桃白白がちっちゃい女の子のアラレちゃんに振り回される様が実に面白い。

 

原作では鶴仙人の戦闘シーンは無かったが本作では鶴仙人どどん波天津飯気功砲の激突があった。

 

原作では悟空が願いを叶えた直後の四星球を手にした事が三年後のピッコロ大魔王編の始まりに繋がるのだが本作では願いを叶えたドラゴンボールは七つ全てが世界各地に飛び散って悟空は再び冒険に旅立つと言う結末になっている。
ピラフ一味も冒頭で桃白白に消された感じなので本作の世界ではピッコロ大魔王は復活しないのかもしれない。

 

「ちっちゃい子供が最高権力者で彼の前で武術大会が開かれる」と言う展開は『ドラゴンボール超』の力の大会編を思わせる。
本作の餃子は実権が無くて彼自身は弱い人物(おそらく本作の餃子はどどん波が使えない)なので殺される恐怖を常に抱いていた。一方、全王は世界の最高神で立ち向かえる存在が誰もいないとなっていて全王ではなく彼の周りの人物が殺される恐怖を常に抱く事になると二人は真逆のキャラクターとなっている。

 

自分は見ていないのでイメージで語るが本作のモデルは映画『ラストエンペラー』かな。