「ピッコロ大魔王降り立つ!!」
『DRAGON BALL』其之百四十二
「くるしんで生みだしたわが戦士をふたりも殺しおって…!!」。
基本的にこの頃の作品の悪の親玉は非情で部下も使い捨てにするイメージがあるのだが、ピッコロ大魔王は自分で生んでいるからか部下に対する愛情が見え隠れする。
既に四つのドラゴンボールを集めていた亀仙人達。
亀仙人、天津飯、餃子と強者が揃っているからであるが、それでもわずか一日でドラゴンボールを四つも集めてしまうのは凄い。(しかもこの数時間後に五つ目のドラゴンボールも発見している)
神龍にピッコロ大魔王を滅ぼしてもらうと言う亀仙人の作戦を聞いた天津飯は「そんな消極的な方法しかないのですか? オレは…やはり戦って勝ちたい…!」と呟く。
先の第22回天下一武道会では武舞台を消して場外勝ちを狙った天津飯だが実力では悟空に負けていた事が気になったのか、ここでは正面から戦って勝つ事を望むようになる。(この時は魔封波と言うピッコロ大魔王との実力差を無視して勝てる技での勝利を考えていたがさらにこの後になると魔封波のような特殊な技ではなく自分の実力だけでどこまで強敵と戦えるのかを求めていくようになる)
『DRAGON BALL』はタイトルにあるように最初はドラゴンボール集めが一つの軸だったのだが、ピッコロ大魔王編からはドラゴンボール探しはあっさりしていて、戦いが終わった後に死んだ人を生き返らせるアイテムになっていく。
ピッコロ大魔王の昔話を聞いていたヤジロベー。
過去が全く明かされていないヤジロベーであるがこの場面で彼にピッコロ大魔王の昔話を教えた誰かがいた事が分かる。現代の世界では多くの人がピッコロ大魔王の存在を知らないので、ヤジロベーにピッコロ大魔王の話を教えた人物は過去の出来事をよく知っている事になるが、どういう人物だったのだろう?
まだ子供の悟空に倒されたタンバリンとシンバルを「魔族の恥さらし」「できそこない」と断じるピッコロ大魔王であるが直後に「このわしの魔力はそこまでもおとろえたというのか……!!」と続けていて、タンバリンとシンバルの弱さに対する怒りがそのまま自分自身の老いに対する怒りに変わっている。
ピッコロ大魔王に向かって「うるせえ!! ナメクジのフン!!!」と煽る悟空。
さすがにこの時点でナメック星人の設定があったとは思えないが、ナメック星人の元ネタである「ナメクジ」をピッコロ大魔王に向けて投げつけるのは興味深い。
「孫悟空対ピッコロ大魔王」に続く。