「ピアノソナタ『月光』殺人事件」
アニメ『名探偵コナン』第11話
1996年4月8日放送
原作の第62話「月影島への招待状」と第63話「ピアノの呪い」と第64話「残された楽譜」と第65話「業火の秘密」と第66話「血染めのボタン」と第67話「名前の秘密!!」をアニメ化した話。
『名探偵コナン』初の1時間スペシャルとなっている。
漫画とアニメにはそれぞれ長所があるが、アニメならではの長所に「音を使える」があり、今回の話は実際に曲を流した事でピアノソナタ「月光」がより記憶に残る事となった。
この頃はまだ小五郎は有名になっていないので「東京から来た名探偵」と名乗っても宇宙飛行士の毛利衛さんや名探偵の明智小五郎に間違えられている。
原作ではピアノの下に落ちていた白い粉をコナンが舐めて確認して麻薬と判断する場面があるがアニメでは匂いを嗅いで確認している。
アニメではカットされているが原作では「成実は女と思われている自分を容疑者から外す為にわざと力業の犯行にした」と説明されていて、それを受けて原作では「トイレは男女別」「大柄な人を運ぶから犯人は男」と男と女を意識した台詞が物語全体に散りばめられている。そして「成実は実は力がある」と言う設定は最後にコナンを屋敷の外へと放り投げる場面に繋がる事になる。
今回は『名探偵コナン』で唯一の「犯人がコナンの前で自殺した話」となっている。
犯人の成実は自分の家族を殺した四人全ての殺害を終えているので、真相が明らかにされたらもう命を絶つしか道が残されていなかった。コナンは成実の父が楽譜に残した「まっとうに生きてくれ」を見せれば成実は死ぬのを思い留まると考えていたようだが、「オレの手はあの四人といっしょ…もう血みどろなんだよ…」と成実が語ったように「人を死なせる」と言うのは自分の人生をも終わらせてしまうほど重いものであった。残念ながらこの瞬間のコナンはまだ「人を死なせる」と言う重みを実感出来ていなかったところがあって成実を助ける事が出来なかった。
今回が「新一が初めて人を死なせてしまった話」となっているが、改めて第1話を見返すと、まだ愛していた人を殺して精神が不安定な犯人を新一が衆人環視の中で犯行と動機を暴いて追いつめている。この時の犯人は自殺するつもりで大量の睡眠薬を所持していたので、下手をしたら新一に真相を暴かれて「みんな、あの人が悪いのよー!!」と叫んだ直後に薬を飲んで死亡……と言う恐れがあった。
第1話の新一を見ていると「推理ショーで犯人を追いつめて死なせてしまう」はいつかどこかでやってしまいそうな危うさがあった。出来れば実際に犠牲者が出る前に新一に気付いてほしかったが、今回の話は「探偵・工藤新一」として避けては通れないものだったのかもしれない。