「十絶陣の戦い・『金光陣+落魂陣』・SHADOW」
『封神演義』第129回
普賢真人にミスを指摘された太公望はチマチマと十天君と戦うのを止めて聞仲一人に狙いを定める。今回の仙界大戦は殷を守る聞仲に金鰲が絡んできたと言う形なので、聞仲を倒せばこの戦いは終結する。となれば、いかにして聞仲を前線に引っ張り出すのかが大事になってくるのだが、太公望は敵が多い状態だと味方に犠牲者が出るとして、いかにして味方に犠牲を出さないようにするかを考えた。それがまず十天君を倒していって敵を少なくしていくと言う作戦だったのだが、これは王天君の寄生宝貝によって失敗してしまった。
太公望は金鰲の動力炉をエサにして聞仲を戦いの場に引っ張り出そうとする。実はこれは楊戦をエサにして太公望達を戦いの場に引っ張り出した王天君の作戦と同じだったりする。(当初の王天君は楊戩を助けに来た太公望達を十天君8人でフクロにする予定だった)
個人的な好みだが自分は「周りの人物が主人公をフォローして事態に対処していく」と言う展開が好きなので、太公望に意見を言える普賢真人のキャラクターは面白かった。出来れば生き残ってほしかったなぁ。
本作において太公望は「故郷を失う人物」である。自分の一族である羌族を失うところから物語が始まり、その後、新たな故郷となった仙人界も今回の仙界大戦で友人知人含めて失っている。そして最終的に正体である伏羲も故郷の星を失った人物である事が明かされる。
そのようにして「故郷を失っていった」太公望は最終回でどこに落ち着くと言う事無く放浪する事になる。他の皆は蓬莱島に神界に人間界にと定住する場所が決まったと言うのに……。
金光聖母の金光陣では光に照らされて出来た影が自分自身を襲ってくる。藤崎竜さんの作品で「影(SHADOW)」となると読み切りであった『SHADOW DISEASE』を思い出す。(「光に照らされた影が地面から出て本体を攻撃する」と言う展開だと『ビックリマン』のゴーストアリババ戦があるけれど、まぁ、これは偶然かな)
「十絶陣の戦い・『金光陣+落魂陣』・光」に続く。