「通天教主FOUR」
『封神演義』第132回
色々と重大な過去話。
今から200年前に妲己は誘惑の術で金鰲の仙人300人程を連れ去って通天教主からの独立を宣言した。
「妲己」と言う名前は今から10数年前に蘇妲己の肉体を得た時に名前も一緒に得たと思われていたが、蘇妲己の肉体を得る190年ほど前に既に妲己は通天教主から「妲己」と呼ばれていた事が判明。と言う事は妖怪である妲己と蘇妲己の名前が一緒だったのは偶然だったのかな?
妲己は今から600年前の時点で既に金鰲と距離を置いていて、その代わりに女媧と手を組んで力を与えられていた。そして今から200年前の時点で既に申公豹か太上老君以外では単独で止められない程の強さを手に入れたので遂に通天教主に対して正面切って独立宣言をしたと言ったところであろうか。(そう考えたら、女媧の後ろ盾を得ている妲己を撃退した聞仲と四聖はやっぱり凄かったんだなと言う事が分かる)
今から1500年前の趙公明の挑戦によって冷戦状態だった崑崙と金鰲の関係は悪化し、今から200年前の時点でもそれは続いているらしく、元始天尊は「妖怪と人間は不仲」と言って通天教主が崑崙に来た事に驚いている。
通天教主は妲己は崑崙と金鰲を争わせて弱体化させた後に両者を手に入れようとしていると考え、崑崙と金鰲の間に不可侵条約を結ぶ事を決める。(実際には今から500年前の時点で妲己の目的は人間界と仙人界の支配から地球との融合へと変わっているが)
因みにこれよりさらに後になると、さらに強くなっていく妲己に対して三大仙人は妲己の背後に女媧がいる事を確信して封神計画を立案している。(実際には今から2000年前の時点で元始天尊と燃燈道人と伏羲(王奕)によって封神計画は始まっていたのだが……)
この時の不可侵条約の誠意の証として通天教主は自分の息子である楊戩を崑崙に差し出している。(実際は妲己から通天教主の子・楊戩の存在を隠すのが目的だったのだが)
ここでちょっと気になるのが以前の話で楊戩が「自分は幼体の頃に崑崙に預けられた」「今から50年前の金鰲に侵入した時に自分の父と母を知った」と語り、玉鼎真人も「自分は楊戩が赤子の頃から一緒にいる」と語った事。前回と今回の話を見るに楊戩が預けられたのは赤ん坊の時ではないし、子供の頃既に自分の父が通天教主であった事も知っていたようだ。
ここからは推測になるのだが、楊戩は一度「赤子まで若返させられた」のではないだろうか? これなら通天教主と元始天尊の会談の時には立って歩く事が出来る子供だった楊戩の赤子時代を玉鼎真人が知っていると言う話の矛盾点が無くなる。又、自分の父が通天教主だと知っていた楊戩が今から50年前の時には自分の父は知らなかったと言うのも赤子になった事で記憶が薄れたと考える事が出来る。
王天君の正体は今から200年前に元始天尊の一番弟子だった王奕。
ここでちょっと気になるのが「十二仙と王奕の間に面識があったのかどうか」。太公望と十二仙の関係を見るに王奕と十二仙が顔見知りだった可能性はある。まぁ、王天君は妖怪になって姿も変わっているので十二仙は王天君の正体が王奕だったと気付かなかった可能性があるが、王天君の方はどうだったのか気になる。もし顔見知りで仲も良かったとしたら、王天君は玉鼎真人を殺す時にどういう心境だったのだろうか……。
「金鰲は原則的に人間を受け入れない」。
そうは言っているが、通天教主は人間である聞仲を今から300年前にスカウトしている。ただし、聞仲はすぐにスーパー宝貝の禁鞭を使いこなして十天君を超える力を得たので、そこがまた金鰲の妖怪が人間を快く思わない理由になった可能性はある。
王奕は元は人間だったのだが王天君は妖怪となっている。人間が妖怪へと変化する事があるのか、それとも妖怪の肉体へと魂を入れ替えられたのか、その辺りは不明。後に明らかになるが、王天君は3つの肉体を持っているので、新たな肉体として妖怪の肉体を妲己から提供されたのかもしれない。
「いつしか妲己が母親代わりになっていた」。
王奕の人生を狂わせた一番最初の原因が妲己なのに、その妲己こそが狂った人生の中での唯一の救いになると言うのが辛い。そしてそれを王天君は分かっていながらも最後まで妲己を自分の母親としてすがっていたのも辛い。
興味深いのは太公望も自分の一族を滅ぼした元凶が妲己であると知っていながら、その一方で張公明戦の時のようにどこかで妲己を求めている節がある。違う道を歩んでいながら太公望と王天君はどこかで重なる部分が出来ている。
王天君が語る封神計画の真実は一部が本当で一部が嘘。この時点ではまだ表に出してはいけない女媧の部分を巧妙に隠している。
「通天教主FIVE」に続く。