翔龍shoryuの忍たま日記

『忍たま乱太郎』について色々と書いていくブログです。『ドラゴンボール』や藤崎竜さんの『封神演義』のレビューも書いています。

『異説 封神演義』

『異説 封神演義

 

ゲームの発売に合わせて書かれた読み切りで、藤崎竜さんによると「連載されていた『封神演義』とは、また別の解釈をもとに描かれた『別モノ』」との事。

 

なので本編と設定を繋げる必要は無いのだが、あえて繋げるとするなら「女媧によって滅ぼされた歴史の一つ」と言ったところであろうか。あの望ちゃんが女媧に滅ぼされるとはちょっと考えにくいが……。

 

本作では通天教主が金鰲島を作っておらず、楊戩も通天教主の息子の妖怪仙人と言う設定は語られていない。
本作に登場する妲己も妖怪仙人であると言った説明は無いので、蘇護の娘である人間・蘇妲己が年齢を重ねた姿なのかもしれない。(本作の妲己は蘇妲己と同じく黒髪) 妖怪・妲己は通天教主の弟子で、ある程度の力を身に付けてから独立しているので、通天教主がいない歴史では世の中を動かせるほどの力を身に付ける事が出来なかった可能性がある。
紂王がアホな理由だが、通天教主が金鰲島を作らなかった事で聞仲が道士になって不老不死になる事も無くなり、紂王を指導する存在がいなくなったからと考えられる。
こうして見ると、実は通天教主はかなりの重要人物だった事が分かる。

 

本編では桃源郷にいる田吾作どんが本作では朝歌にいる。ひょっとしたら本作では太上老君桃源郷を作っていないのかもしれない。この歴史では王奕が元始天尊と燃燈道人と太上老君と会っていないので、太上老君は女媧の夢を盗み見したりする事も無く、本編よりも人との接触を断っている可能性がある。本作には申公豹も出ていないが、この歴史では太上老君は申公豹を弟子にしていなかったのかもしれない。

 

王奕が元始天尊達に歴史の道標の存在を告げていないので、本作では封神計画や封神台等は登場せず、あくまで人間界の乱れが見過ごせなくなったので殷周易姓革命を起こしたとなっている。

 

本作を初めて読んだ時に印象に残ったのが四不象。
一体何だい? この汚らわしい生き物はw
「ゾッフィー!」と言う鳴き声だが元ネタは何だろう? 『ソフィーの世界』やウルトラシリーズに登場したウルトラマンゾフィーを思い出すが……。(因みにどちらも名前の由来は「哲学(フィロソフィー)」らしい)
四不象は本編では「霊獣」となっているのだが本作では何故か「神獣」となっている。

  

本編の太公望は「色々と考えて、自分が悪者になっても構わない作戦を立てる」が、望ちゃんは「何も考えずに行動した結果、良い評価を受ける」と真逆のキャラになっている。

 

本作の妲己はアンラッキーが重なってどんどん評価が下がっていくと言う気の毒な存在。まぁ、民が苦しんでいるのに贅沢三昧をしたので自業自得と言えるが。
因みに「紂王悪行ファイル」が紹介されているが、そのうちの二つは紂王は全く絡んでいなかったりする……。

 

最後に語られる「済地方のゴミ屋敷問題」だが、歴史上の太公望は済地方を治めているので、おそらくこのゴミ屋敷問題には太公望が関わっていると思われる。本作では封神計画が行われていないので、おそらく太公望は道士になる事なく人間のまま済地方を治める事になっているのだろう。
太公望が済にいるのなら望ちゃんの正体は一体何なんだ?と言う話になるが、ひょっとしたら、本編で生き別れになった太公望の妹が望ちゃんで、この歴史では太公望ではなくて妹が元始天尊に拾われて一番弟子になったのかもしれない。

 

太公望メタボになる」に続く。