「冒険」と言うだけあって今回のシリーズは移動が多い。
まず申公豹からの情報で巨大な積乱雲を見付け、続いて道路標識の指示に従って雲の中を進み、呂望の案内によって桃源郷に辿り着き、そして邑姜に連れられて羌族の村で眠る太上老君と出会った。
太公望が桃源郷にやって来て3か月が過ぎた頃、邑姜は「そろそろかな……」と言って太公望に太上老君の事を教える。邑姜の「そろそろかな……」とはどういう意味なのか? 単純に考えると邑姜による太公望の調査が終わった、又は太公望の考え方が変わって太上老君の思想に合うようになっただが、正直言って、筋肉ムキムキの太公望を見て邑姜は太公望の何が分かったのか読者の私はよく分からない……。
ひょっとしたら、邑姜の言う「そろそろかな……」は太公望に関する事ではなく、太上老君がそろそろレム睡眠に入る、すなわち交信可能の時期に入ると言う意味だったのかもしれない。
太公望の不在時を任された楊戩は修行不足が目立つ雷震子、土行孫、蟬玉、韋護に稽古を付ける事になる。これまでも楊戩の強さは語られていたが、ここに来ていよいよ仲間の中にある実力差が目立ってきた。個人的には韋護はもう少し強くあってほしかったが、今回示された実力差はそのままスーパー宝貝を使えるかどうかに繋がっているので、この時点で作者は対女媧戦のメンバーを決めていったのだと考えられる。
東西南北の諸侯の軍が集結するのは朝歌の西側にある孟津となった。
劇中では特に描写は無いが東伯は途中で朝歌の近くを一度通る事になる。妲己は各個撃破はしなかったが聞仲ならその策を採った可能性があるので、もし聞仲が健在だったら東伯は最も大変なルートを通る事になったかもしれない。
「太上老君をめぐる冒険6 -睡眠-」に続く。