「それぞれの現在・過去・未来シリーズ② -哪吒の宝貝狩りと元始天尊の○×△-」
『封神演義』第47回
太乙真人は武成王造反の時に新たな宝貝を渡す代わりに太公望のもとで戦えと哪吒に言い、四聖との戦いでは光の屈折を教える事で頭を使う事を哪吒に気付かせた。しかし、聞仲との戦いに負けた哪吒は頭を使う事より新たな宝貝を手に入れて強くなる事を選んでしまう。これは太乙真人が「宝貝の開発者」であるが「戦いの師匠」ではない事が原因と考えられる。もし太乙真人が本格的に戦い方を教える事が出来る人物なら哪吒は新たな宝貝を奪うより戦い方を聞きに来たと思う。
そんな太乙真人には無い「戦いの師匠」の部分を補完するのが今回登場した金吒と木吒の二人。二人は単純な戦闘力では哪吒に勝てないが自分達の宝貝を上手く使って哪吒を追い詰め、この戦いで哪吒は自分の宝貝が接近戦に向いていない事に気付く。
金吒と木吒との戦いで自分は接近戦が苦手と知った哪吒がそこで頭を使って戦うのではなく太乙真人に宝貝を接近戦用に改造させるのが面白い。問題の解決を太乙真人に丸投げしてしまうところで哪吒が太乙真人に甘えている事が分かる。そもそも甘える事が出来るのは信頼出来る相手に対してなので、実は哪吒は太乙真人を信頼している事も分かる。
たとえば子供、特に学生時代の子供は何か困ったり問題事があるとそれを親に報告する。親に報告すれば何とかなるんじゃないかと思っているのだ。これは子が親に甘えていると言え、甘えられるほどに親を信頼していると言える。なので甘える哪吒とそれを許す太乙真人の関係は大げさなほどに親子だと言える。
金吒と木吒は哪吒の兄弟との事。
哪吒以前に太乙真人が作った宝貝人間かと思ったが李靖と殷氏の子供らしい。二人が両親と一緒にいる場面が無いのであまり親子と言う感じがしなかったのが残念。どこかで一家五人が揃う場面を作ってほしかった。
楊戩は既に十二仙を上回る戦闘能力を持っているらしい。しかし、そんな楊戩でも聞仲には手も足も出なかった。後に聞仲が十二仙を全滅させたのには驚いたが、思えば既にこの時に聞仲は十二仙相手に圧勝出来ると言う説明がされていた。
今回の元始天尊の目的は自分一人が強くなろうと焦る楊戩に対し、今は太公望と協力して巨大な敵を倒す事が大事だと伝える事であった。
封神計画は自分一人では女媧に勝てない元始天尊が女媧と戦えるだけの戦力を集めると言う側面もあり、元始天尊は一人で戦う限界を既に知っていたのだ。
「それぞれの現在・過去・未来シリーズ③ -BATTLE COOKING!! 黄飛虎V.S.南宮适-」に続く。