「十絶陣の戦い・『風吼陣』・INTO THE TORNADO」
『封神演義』第122回
この回の時点で崑崙側で楊戩の正体を知っているのは玉鼎真人、元始天尊、太公望、四不象、蟬玉、白鶴童子、雲中子。白鶴童子は自身も妖怪仙人なので楊戩の正体についてどうこう言う事は無く、雲中子も出自を気にするタイプではなかった。そもそも本作では第2回の時点で元始天尊が妖怪仙人への差別を非難しているので、楊戩が思うほど崑崙では妖怪仙人への偏見や差別は無いのかもしれない。(上にも書いたが白鶴童子だって妖怪仙人だし)
太公望「楊戩の事は雲中子に任せたい!」、
雲中子「へいへい」(ニヤァ)。
読んでいて「こいつに任せて大丈夫か?」と心配した場面。
雲中子と呂岳は狂っている感じが似ているのだが、呂岳は「狂っているようでありながら時々まともな部分を見せる」で、雲中子は「普通を装っているが不意な言動がヤバい」となっていて、ヤバさでは雲中子の方が上かもしれない。
元始天尊は善人なのか諸悪の根源なのか?
人によって感じ方が様々なのは、彼が周りを信用せずに封神計画を進めた一方、弟子である太公望に対しては育ての親として接する場面があるからと考えられる。たとえば今回の話での「なんというわがままで一途なやつよ」と言う言葉は師匠として育ての親として太公望に対して思った言葉であろう。その一方で彼は封神計画の為に王奕を切り捨て呂望を利用した過去がある。
漫画と言うのは人物を一つの属性にまとめがちであるが、元始天尊は状況や対面する人物によって色々な面を見せている。その為、読者が元始天尊のどの面を彼の本質と捉えるかで彼の評価がガラッと変わる事になる。
太公望は十二仙達をチーム分けする事で「十天君一人VS十二仙数人」と言う戦いの構図になるようにした。この方が勝率が高くなり、又、犠牲者が出る可能性を低くする事が出来ると考えたのだろう。さらに太公望はまず十天君を倒し、次に聞仲を倒し、最後に通天教主を倒そうと考えた。弱い順から戦っていく事で自分達の勝率を上げようとしたのだが、これら太公望の策は決着まで時間がかかる事となり、逆に王天君の寄生宝貝を蔓延させてしまう事となる。
今回作られたチームは6つ。これに黄一家と雲霄三姉妹を加えると全部で8チーム。この時点での十天君は残り8人だったので、十天君8人VS崑崙8チームと言う戦いになるかと思ったら、A班とF班以外はまともな戦いが無いと言う驚きの展開に……。十二仙達の戦いも見たかったなぁ……。
「十絶陣の戦い・『風吼陣』・虫」に続く。