「死闘十 -元始天尊 王天君にグリグリされる-」
『封神演義』第144回
2人目の王天君が本格的に物語に絡んでくる。
王天君は通天教主戦で全てをぶちまけて死んだのでまさか再登場するとは思わなかった。
因みに王天君は全部で3人いるのだが微妙にキャラが違っている。
1人目の王天君は十天君の一人として動いているようで実は妲己の指示を受けて動いていた。しかし、楊戩と通天教主への憎しみを叫んでぶちまけると言ったように感情的になる場面があり全体的に子供っぽい感じであった。
これが2人目になると元始天尊や聞仲への憎しみはあるものの妲己の指示を忠実に実行して自分の命と引き替えに聞仲にダメージを与えている。
そして3人目になると妲己に従っているようでありながら自分なりの考えを持って行動するようになった。
こうして見ると、1人目から3人目に変わっていくに従って少しずつ大人になっていっているのが分かる。
「王天君の魂魄を分裂させたのは元始天尊」。
この言葉は2人目の王天君が登場した理由付けだと思いきや次に王天君は「この特異性が楊戩と同等と評価されて人質交換のネタになった」と語っている。つまり元始天尊は楊戩との人質交換の前に王天君(王奕)の魂魄を分裂させた事があるとなり、後に明らかになる「王奕の魂魄を二つに分けて、それが太公望と王天君になった」の伏線だった事が分かる。
王天君にグリグリされるのを「わしの業」と語る元始天尊。元始天尊自身も自分の行いに対して思うところがあったのだろう。
「死闘十一 -現在かさなる過去-」に続く。