「天津飯と桃白白」
『DRAGON BALL』其之百六十九
亀仙人が「桃白白は天津飯の手の内を知り尽くしている」と言い、クリリンも「桃白白は天津飯の師匠のような存在」と言っているので、鶴仙人だけでなく桃白白も天津飯に戦い方や武道を教えていた事が分かる。
桃白白は鶴仙人や天津飯が使っていた舞空術を覚えていなかった。どうしてなのか気になるが、よく考えたら桃白白は舞空術を覚える必要があまり無かったのかもしれない。
この頃の舞空術は長距離を高速で移動するのに向いていないので天津飯もキングキャッスルに乗り込む時は飛行機を使っていた。となれば舞空術が必要となるのは戦いにおいてとなるが、当時の桃白白は真正面から戦って負ける事が無い存在だったので、舞空術を使って空中に浮かんで自分に有利な状況を作る必要が無かった。相手が空を飛べるのならさすがに自分も空を飛べた方が良いかもしれないが、この頃に舞空術で空を飛ぶ事が出来るのは仲間である鶴仙流の関係者ぐらいだったし。
鶴仙人と亀仙人が面と向かって言い争う場面がある。
ここで鶴仙人は「鶴仙流を裏切った」や「憎き亀仙流」と言った感じで流派に囚われているが、一方の亀仙人は「既に悟空達は自分の手を離れている」として自分の流派に拘りを見せていない。結局は自分の囲いの中に天津飯達を閉じ込めようとした鶴仙人と悟空達の可能性を信じて伸ばしていった亀仙人と言う二人の器の違いが見えるやりとりとなった。(そんな亀仙人だったからこそ、悟空はカリン様、神様、界王様、ウイスと亀仙人以外の人からも教えを受ける事が出来て可能性をどんどん広げていく事が出来た)
「さて…と、今回はゆっくり見物といくかの…」。
こうして武天老師は初めて天下一武道会を観客として最初から最後まで見て弟子の悟空の優勝を見届ける事となる。(そしてそれまでは作品において重要人物であった亀仙人は以降は一歩下がった位置になって物語にあまり関わらなくなる)
金髪ランチを使って観戦する場所を確保するブルマ。
ブルマの自分の欲望に素直なキャラと金髪ランチの暴力で無理を押し通すキャラって実はコンビとして結構相性が良いんだよね。こうして見るとランチさんがサイヤ人編からは登場しなくなるのは残念だった。(舞台が宇宙になってしまうので金髪ランチを暴れさせる場所が無いと言うのはあるが)
クリリン達もカリン塔に登って修行をしたらしい。
そのままカリン塔のてっぺんにある如意棒を登っていけば神殿で悟空や神様に会えたのだがカリン様が許可を出さなかったのかな。亀仙人に話を聞けばカリン塔と如意棒と神殿の関係は分かるので、カリン塔の上にある神殿で悟空が神様の修行を受けている事は分かっていただろうし。
ヤジロベーが覆面を付けて天下一武道会に出場していた事に気付かなかった悟空達。
この頃はまだ気を探る技術が完璧ではなかったので近くにいたヤジロベーの気を感じる事が出来なかったのかな。
『DRAGON BALL』は強さの表現が上手い作品で、特に今回の「かつて悟空を倒した事もある桃白白の背後を取って「わたしはあなたがかんがえているより強くなりすぎてしまったのです…」と戸惑いながら告げる天津飯」の場面は作中でも屈指の主人公メンバーの成長を示した場面だったと思う。
「殺し屋 桃白白のあがき」に続く。